ウォータージェット技術は、幅広い素材を非熱的に切断できる特長を持ち、多様な業種で導入が進んでいます。 とくに大厚板の切断が必要な自動車・航空機関連や造船・プラントなどの重工業では、高い切断精度や熱影響の少なさが求められるため、ウォータージェットが注目を集めています。 ただ、大厚板を扱う場合には、より高い圧力・最適なノズル設計・加工速度の調整など、専門的な知見と技術力が不可欠です。 そこで本記事では、切断厚みを最大限に活かせるウォータージェット企業5選を取り上げ、それぞれの技術的特徴や導入事例を比較します。 加えて、大厚板切断に求められる要素や注意点も解説し、ウォータージェット企業を選ぶ際の視点を整理します。 導入の効果やコスト、メンテナンス性など、BtoBの現場で気になるポイントを網羅的にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。目次大厚板切断に求められる技術ウォータージェットによる切断厚みは、高圧ポンプの能力やノズルの形状、研磨剤の種類・量など、複数の要因が組み合わさって決まります。 とくに大厚板を扱う際には、通常の板金加工以上に強力なポンプが必要とされ、ノズルのサイズ・材質・噴射角度なども最適化しなければなりません。 さらに、厚みが増すにつれて切断速度が遅くなりやすいため、生産性と切断面の品質をいかに両立するかが企業選定のポイントになります。 以下では、大厚板に対応するウォータージェット企業を比較する前に、まずは大厚板切断に求められる技術要素を整理していきます。高圧ポンプとノズル設計がカギウォータージェットの切断能力は、高圧ポンプが生み出す圧力とノズル設計の組み合わせによってほぼ決まるといっても過言ではありません。 一般的にウォータージェットは、3,000~6,000気圧(psi換算で約43,500~87,000psi)前後の水圧を用いるケースが多いですが、大厚板切断ではさらに高圧なシステムが有利な場合があります。 高圧かつ安定した水流を供給できるポンプを持つ企業ほど、単位時間当たりの切断可能厚みや品質に優位性を発揮します。水流のエネルギー損失を最小化 ノズルを通る際の水流は、摩擦や乱流によってエネルギーを喪失することがあります。 特に大厚板を切る場合、切断経路が長くなるほど水流が減衰しやすいため、ノズル設計では水の乱れを極力抑える工夫が重要です。 ノズル開口部の形状やダイヤモンドなど硬度の高い素材を使うことが多く、いかに研磨剤を均一に混合させるかも切断面の仕上がりに影響します。 加工においては、ノズル内部の流体シミュレーションや実証実験を重ねた企業ほど、大厚板切断時のエネルギー損失を最小化できるノウハウを持っています。加工速度と断面品質のバランス大厚板への切断では、当然ながら時間がかかります。 生産効率を重視する現場にとっては、切断速度をいかに高めるかが課題となりますが、速度を上げすぎると断面の垂直度が失われたり、切断面が荒れたりするリスクが高まります。 高圧力を扱える企業であっても、加工速度と断面品質のどちらを優先させるかによって最適な運用条件が異なります。 この点を理解している企業は、企業のニーズに合わせて切断条件の最適化を提案してくれるため、導入効果を最大化しやすいでしょう。厚さに応じた適切な研磨剤量 研磨剤(アブレシブ)の種類や粒度、注入量も大厚板切断の要となります。 硬質の砂やガーネット砂などが用いられますが、砂量を増やすほど切断力が向上する反面、コストとノズル摩耗が増大します。 適切なバランスを保つためには、対象素材や切断厚みに応じて研磨剤量を調整する技術的ノウハウが求められます。 この点を細かく提案してくれる企業は、総合的なコスト削減と安定した品質管理の両面でメリットを提供してくれるでしょう。◯あわせて読みたい記事高圧ポンプの性能で選ぶ!ウォータージェット企業4選徹底比較 大厚板対応の5社比較ここからは、実際に大厚板に対応しているウォータージェット企業5社の特徴を比較していきます。 切断厚みの実績や採用技術、製品ラインナップ、アフターメンテナンス体制など、多角的に注目しながら解説します。 各社とも世界的に著名なウォータージェット企業であり、自動車や航空宇宙、建設など、幅広い分野で導入されてきた実績を持っています。 ただし、その分専門性や特徴も異なるため、自社の加工事例や用途に合った選択が必要です。KMT AB引用元:KMT AB HPKMT ABはスウェーデンに本拠を置く高圧ポンプの老舗メーカーとして知られています。 自社ブランドであるKMT Streamlineシリーズなど、高圧ポンプを中心とした製品群をグローバルに展開しており、世界中のウォータージェット企業にコンポーネントを供給しています。 切断厚みに対する技術力は、長年の研究開発の成果によって裏付けられており、導入事例としては自動車産業や食品加工、紙パルプ分野などでも幅広く活用されています。 また、ポンプの保守点検やアップグレード対応が比較的充実している点も評価されている要因です。自動車や航空宇宙向け研削機のノウハウ KMT ABは、高圧ポンプだけでなく、航空機の複合材加工や自動車のサスペンション部品切断など、精度と強度が求められる研削機分野でのノウハウも持っています。 特に航空宇宙向けではカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)の大厚板切断に関する実績もあり、切断厚みの対応範囲が大きいという評判があります。 欧州を中心に拠点を構えていますが、日本を含むアジア地域への販売・メンテナンス体制も徐々に整えられてきました。 口コミでは、部品の供給スピードにやや難があるという意見もありますが、グローバル企業としての実績と技術力は確固たる評価を得ています。会社名KMT AB本社所在地Åbytorpsvägen 25, 264 39 Klippan, スウェーデン電話番号0435-191 50公式サイトURLhttps://kmt-klippan.com/%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fmaps%2Fembed%3Fpb%3D!1m18!1m12!1m3!1d2223.695832533445!2d13.118612177102605!3d56.12777867322543!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x4653da014b061da7%253A0xd9e2a0fb9218fed6!2zw4VieXRvcnBzdsOkZ2VuIDI1LCAyNjQgMzkgS2xpcHBhbiwg44K544Km44Kn44O844OH44Oz!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1745272504517!5m2!1sja!2sjp%22%20width%3D%22600%22%20height%3D%22450%22%20style%3D%22border%3A0%3B%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20loading%3D%22lazy%22%20referrerpolicy%3D%22no-referrer-when-downgrade%22%3E%3C%2Fiframe%3EJet Edge Inc引用元:株式会社ジャプコン (Jet Edge Incの代理店)HPJet Edge Incは、アメリカのミネソタ州に拠点を置き、超高圧技術に特化したウォータージェットメーカーです。 最大で90,000psi(約6,205気圧)という非常に高い水圧に対応できるポンプを販売しており、業界内でもハイエンドに位置付けられます。 このため、極厚の金属板や複合材料の切断に強みを発揮し、大型構造物や特殊鋼板の加工などでの導入事例も多々見受けられます。 また、定期的な研修プログラムやオンラインサポートを提供するなど、教育にも力を入れています。90,000psi対応で超厚板も切断可 Jet Edgeの製品ラインナップには、90,000psi対応の超高圧ポンプが存在します。 一般的なウォータージェットで想定される60,000psi前後と比較しても高い数値で、大厚板でも一気に水流を貫通させることが可能です。 特に硬質合金やチタン合金など、従来の切削加工では難しかった特殊材の切断事例が豊富で、エネルギー・医療機器分野でも注目されています。 一方で、ハイエンドモデルゆえに設備投資やメンテナンス費用が高額になることがあり、投資回収期間をしっかりと見積もる必要があるとの口コミも見られます。会社名株式会社ジャプコン (Jet Edge Incの代理店)所在地〒702-8024 岡山市南区浦安南町673電話番号086-265-5111(代表)公式サイトURLhttps://www.japcon.co.jp/company/%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fmaps%2Fembed%3Fpb%3D!1m18!1m12!1m3!1d3284.4378947712476!2d133.9271670760312!3d34.59308697295811!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x3553f830d1481afd%253A0x535a269cd5fc2560!2zKOagqinjgrjjg6Pjg5fjgrPjg7M!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1742933883127!5m2!1sja!2sjp%22%20width%3D%22600%22%20height%3D%22450%22%20style%3D%22border%3A0%3B%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20loading%3D%22lazy%22%20referrerpolicy%3D%22no-referrer-when-downgrade%22%3E%3C%2Fiframe%3EOmax引用元:代理店(株)JRD HPOmaxはアメリカ・ワシントン州に本社を置き、PC制御技術とソフトウェア開発に強みを持つウォータージェットメーカーです。 切断シミュレーションやプログラム最適化など、ソフトウェア面の充実によって操作性の高さが評価されており、初めてウォータージェットを導入する企業でも扱いやすい設計となっています。 大厚板切断においては、独自のノズル設計と研磨剤制御機構によって、安定した断面品質を得やすいのが特長です。アブレシブ含有量制御で安定した切断品質 Omaxの最大の強みは、ソフトウェアを通じてアブレシブ(研磨剤)の投入量や噴射速度を制御し、常に最適な切断条件を維持できることにあります。 大厚板を切る場合、切断が進むにつれてノズル付近の圧力や水流速度が変化しやすいですが、Omaxのシステムはそれを補正して均一な切断面を保ちやすい設計です。 導入実績としては中小企業から大手企業まで幅広く、日本国内でも専用代理店を通してメンテナンスやトレーニングが提供されています。 一方、独自設計のパーツが多いため、修理時にはオリジナルパーツを取り寄せる必要があり、コスト面で気になるとの声もあります。屋号代理店(株)JRD会社名OMAX Waterjet 所在地埼玉県吉川市栄町1398-6-201電話番号048-971-8305公式サイトURLhttps://www.kkjrd.com/%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fmaps%2Fembed%3Fpb%3D!1m18!1m12!1m3!1d3232.497559155!2d139.85151497608356!3d35.88582787252184!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x6018975fe5555555%253A0x1380c176ec2fd20d!2z5qCq5byP5Lya56S-77yq77yy77yk!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1742932247080!5m2!1sja!2sjp%22%20width%3D%22600%22%20height%3D%22450%22%20style%3D%22border%3A0%3B%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20loading%3D%22lazy%22%20referrerpolicy%3D%22no-referrer-when-downgrade%22%3E%3C%2Fiframe%3Eフロージャパン引用元:フロージャパン株式会社HP フロージャパンは、世界初の商業用ウォータージェットを開発したFlow社の日本法人であり、ボーイング社での技術実績を母体に持っています。 高圧技術のパイオニアとして知られ、航空機部品やエンジン部品など超精密かつ高強度が要求される領域で、多くの導入事例があります。 日本国内では自動車メーカーや造船関連企業にも導入されており、大厚板切断でも活躍が期待される企業の一つです。ボーイング由来の高圧技術で厚物も安定 フロージャパンの親会社Flowは、ボーイング向けにウォータージェット技術を長年にわたって提供してきた歴史があります。 そのため、航空機用のアルミ合金やチタン合金、複合材などを分厚く切断してきた実績が豊富です。 切断厚みや素材に応じて細かなカスタマイズが可能な点が評価されており、国内のサービス拠点も複数存在するため、緊急時のメンテナンス対応が比較的スムーズです。 ただ、ボーイング級の厳格な品質基準を踏襲している分、設備コストはやや高めに設定されており、ROI(投資対効果)の検討が欠かせません。屋号Flow International会社名フロージャパン株式会社所在地〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄4-5-3KDX 名古屋栄ビル9F電話番号052-265-8069公式サイトURLhttps://www.flowwaterjet.jp/%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fmaps%2Fembed%3Fpb%3D!1m18!1m12!1m3!1d3261.502128735635!2d136.90728299678958!3d35.169035500000014!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x600370d07ae2b243%253A0xcd9dc79fdb42d647!2z44ix44OV44Ot44O844K444Oj44OR44OzIOaghOS6i-WLmeaJgA!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1742931842696!5m2!1sja!2sjp%22%20width%3D%22600%22%20height%3D%22450%22%20style%3D%22border%3A0%3B%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20loading%3D%22lazy%22%20referrerpolicy%3D%22no-referrer-when-downgrade%22%3E%3C%2Fiframe%3E◯あわせて読みたい記事フロージャパンの概要とウォータージェット加工の特徴を解説!関連企業にも注目スギノマシン引用元:株式会社スギノマシンHPスギノマシンは日本・富山県に本社を置く老舗機械メーカーで、水圧技術を活かした多彩な装置を製造・販売しています。 バリ取りや洗浄装置の分野で名が知られていますが、大厚板向けのウォータージェット装置も手掛けており、国内企業ならではのきめ細やかなサービス体制を敷いている点が特長です。 鉄やステンレスはもちろん、アルミや樹脂系素材の加工実績も多く、設計からアフターサポートまで一貫して相談できる体制を整えています。バリ取りだけでなく大厚板切断も実績あり スギノマシンはもともと高圧ポンプの開発に強みがあり、洗浄や研削の用途から派生する形でウォータージェット装置を展開してきました。 そのため、バリ取りや穴あけ加工だけでなく、厚板の切断にも対応できるノウハウを蓄積しており、実際に航空機部品や重工業部品の切断事例があります。 国内メーカーとして、パーツ調達やメンテナンス訪問がスピーディに行いやすい利点もあり、導入後のランニングコストを重視する企業から好評です。 ただし、国内企業ということもあり、海外拠点での使用を想定している場合はサポート面で制約があるとの声も一部で聞かれます。会社名株式会社スギノマシン所在地〒936-8577 富山県滑川市栗山2880電話番号076-477-2555公式サイトURLhttps://www.sugino.com/%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fmaps%2Fembed%3Fpb%3D!1m18!1m12!1m3!1d3196.041308402038!2d137.3989314761205!3d36.769576472255835!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x5ff7a504b8985ccd%253A0x297422481b7d2670!2z77yI5qCq77yJ44K544Ku44OO44Oe44K344Oz5pys56S-IOe1jOeQhuODu-iyoeWLmQ!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1742931678048!5m2!1sja!2sjp%22%20width%3D%22600%22%20height%3D%22450%22%20style%3D%22border%3A0%3B%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20loading%3D%22lazy%22%20referrerpolicy%3D%22no-referrer-when-downgrade%22%3E%3C%2Fiframe%3E◯あわせて読みたい記事スギノマシンの概要やおすすめの取り扱い製品を紹介まとめウォータージェットの切断厚みは、高圧ポンプ能力やノズル設計、研磨剤の種類と注入量など、複数の要素が絡み合って決まります。 大厚板にフォーカスすると、より高圧・より精密なノズル制御が要求されますが、同時に設備費やメンテナンスコストも無視できません。 KMT ABやJet Edge Inc、Omax、フロージャパン、スギノマシンはいずれも大厚板に対応できる製品やノウハウを持っていますが、それぞれ技術の特徴や強みが異なります。 実際に導入する際には、切断厚みや加工材質、生産量、アフターメンテナンスの充実度などを総合的に検討し、自社に合ったウォータージェット企業を選ぶことが重要です。 日本国内で大厚板切断の導入を検討するなら、日進機工株式会社のようにウォータージェット装置の選定から施工・アフターサービスまでトータルに提案できる企業へ相談すると安心です。 自社生産体制や拠点網、サポートの迅速さなどを事前に確認しながら、見積もり比較や担当者とのすり合わせを徹底しましょう。 最終的には、生産効率だけでなく、品質管理や安全性、将来的な拡張性を見越した総合的な判断が不可欠です。 適切なウォータージェット企業とタッグを組むことで、これまで難しかった大厚板の加工にも大きなメリットをもたらす可能性があります。 まずは気になる企業の事例や口コミをチェックしながら、詳細な問い合わせや見積もりを依頼してみてはいかがでしょうか。◯あわせて読みたい記事ウォータージェットの安全対策は?未然に事故を防ぐために危険な事例を紹介ウォータージェットカッターを使った補強工事の成功ポイントプラントメンテナンスの秘訣|効率化を実現する最新技術とは